商業出版をする際、出版社と交わす「契約と権利」について考えておきましょう。出版は、著者と出版社との共同事業です。お互いの権利と義務を定めた契約書の基本を抑え、契約書のチェックポイントまで解説します。
まず、すべてのクリエイターの味方である「著作権」について知りましょう。
著作権とは、小説、イラスト、写真、論文など、あなたが創作した「著作物」を、他人が無断で利用しないように保護するための権利です。この権利は作品を創作した瞬間に自動で発生します。役所への登録や申請は一切不要の無方式主義(むほうしきしゅぎ)です。
著作権は、大きく2つの権利の束で構成されています。この違いを知ることが、契約を理解する上で非常に重要になります。
お金に関わる権利です。他人に譲渡したり、利用を許可(許諾)したりできます。具体的な権利としては、複製権、公衆送信権翻訳権、翻案権などが該当します。
作者の心や名誉を守る権利です。作者固有の権利なので、他人に譲渡することはできません。具体的な権利としては、公表権、氏名表示権、同一性保持権などが該当します。
さて、いよいよ本題の「出版契約」です。出版社と交わす契約には、主に3つのタイプがあります。どの契約を結ぶかによって、あなたの権利がどうなるかが大きく変わります。
一般的に行われる契約です。著者が著作権を持ったまま、出版社に対して「著作を、独占的に紙の書籍(や電子書籍)として出版する権利」をあたえる契約となります。これが日本の出版界で最も標準的で、バランスの取れた契約形態です。
著作権(財産権)は著者にあり、著者の権利が守られやすく、出版社は海賊版などに対抗できるため、双方にとってメリットがあります。
著者が著作権を持ったまま、出版社に著作物の利用を「許可(許諾)」する契約です。何を、どの範囲で、いつまで許可するのかを柔軟に決められるのが特徴です。著作権(財産権)は著者にあり、柔軟な契約が可能ですが、何をどこまで許可するのか、範囲を明確に定めておく必要があります。
著者が持つ「著作権(財産権)」を、出版社に売り渡してしまう契約です。著作権(財産権)は、出版社に移ります。一度この契約を結ぶと、著作権は出版社のものになります。著作者でも、自分の作品を自由に利用できなくなる可能性があります。原則として、安易に結ぶべきではありません。契約書に「著作権を譲渡する」という一文がないか、必ず確認しましょう。
出版社から提示された契約書。難しい言葉が並んでいても、怯む必要はありません。これは、あなたと出版社の良好なパートナーシップを築くための「約束事を記したリスト」です。最低でも、以下の7点は必ず自分の目で確認しましょう。
契約書のタイトルや条文に「出版権設定契約」と書かれていますか?著作権(著作財産権)を甲(著者)から乙(出版社)に譲渡する」という一文が入っていませんか?
印税はあなたの収入に直結する最重要項目です。一般的には「本の定価 × 部数 × 印税率」です。「部数」が、「発行部数(刷った数)」なのか「実売部数(売れた数)」なのかで、受取額は大きく変わります。必ず確認してください。(発行部数で計算するのが一般的です)
契約期間は何年間ですか?(3年~5年が一般的です)「契約期間満了の〇ヶ月前までに、いずれか一方から申し出がなければ、本契約は自動的に更新される」といった「自動更新条項」はありませんか? もしある場合、更新を希望しない時の手続き方法も確認しておきましょう。
紙の本の出版契約は、基本的に電子書籍をカバーしません。電子書籍化に関する条項はありますか?(「公衆送信権」の許諾に関する記述)また、電子書籍の印税率はどうなっていますか?(紙の書籍より高い料率が設定されることが多いです)
あなたの本がヒットすれば、翻訳、映画化、ドラマ化、グッズ化など「二次利用」の可能性が生まれます。これは大きなチャンスです。二次利用の権利について、どのように書かれていますか?
二次利用の窓口(交渉代理)を出版社に委任する場合でも、「二次利用を行う際は、事前に甲(著者)の許諾を得るものとする」という一文はありますか?二次利用で得た収益の分配率は、明確に定められていますか?
あなたが原稿を渡したのに、いつまで経っても出版されない…という事態を防ぐための条項です。「乙(出版社)は、甲(著者)から完全原稿を受領した後、〇ヶ月以内に本著作物を発行しなければならない」といった、出版時期の義務が明記されていますか?(6ヶ月以内が一般的です)
絶版になった場合や契約期間が終了した場合、権利(出版権)はきちんとあなたに戻ってきますか?契約終了時に残ってしまった在庫(本のストック)は、どう扱われますか?(一定期間は販売を継続できるのか、廃棄処分されるのか)
「契約」と聞くと、少し身構えてしまうかもしれません。しかし、契約とは、著者と出版社が互いを尊重し、素晴らしい作品を共に世に送り出すための、大切な約束事です。知識は、あなたを守る盾になります。そして、出版社と対等なパートナーシップを築くための土台となります。記事を参考に、契約時は考えるポイントとしてください。
出版社に本を出版してもらうためには、著者の魅力やメッセージを的確に伝える、質の高い企画書が必要です。
初めて書籍を出す方や、なかなか2冊目のお声がかからない方には、商業出版の企画書作成からサポートしてくれるプロの存在が不可欠。ベストセラーの仕掛け人である、実績が豊富な出版プロデューサーをご紹介します。

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